相談コミュニケーションにおける同情と共感の違いは何か
あらゆる士業において、相談業務は大前提となる基本です。特に、初期段階でのクライエントとの関係性構築は、その後のコミュニケーションが円滑に回るかどうかの分かれ目ともなるべきターニングポイントとも言えます。
ここでは、クライエントの相談を受ける際に、カウンセラーやコンサルタントが陥りがちなミスである、「共感」と「同情」の違いについて以下の通りまとめてみました。非常に簡単そうで難しい重要なエッセンスです。
1.同情と共感の違い
共感は利用者の考えや主張に、全その通りであると感ずる気持ちになることであり、他方、同情は、他人の気持、特に苦悩を自分のことの様になり共に感じることであり、あわれみ、おもいやりという言葉が当てはまります。
先ずは、似て非なる言葉と認識することが重要であり、特に同情の場合は相談者に伝わないどころか、見下しと感じられることもあり、否定的にとらえられることがあるので注意が必要です。
相談場面における共感では、相談者の苦しさ等だけでなく、その思いを抱くに至った背景等について想像して受容することが基本的姿勢です。この想像力が共感と同情の大きな違いです。
同情のそれは、相談者の苦しさ等に寄り添う点では共通していますが、想像することをスキップし、自身の立場を基準にして考える言う点が挙げられると言えます。
すなわち相談者に理解する相手に理解を示す演技になることがあるため、想像に自分の偏見がかかり、意見のぶれに相談者に不信感・反感を抱かせてしまい、結果として信頼関係が築けず、相談内容解決の糸口は絶対に開けない状態になってしまうのです。
2.共感することの難しさ
しかしながら、共感は文簡単にできるものではないことは多くの人が感じていることではないでしょうか。何故なら完全無欠な人間などは存在せず、常に自身の生きてきた背景により無意識のバイアスがかかっているものであり、必然的に相談者各々により相性が発生するものであると考えます。
結果として、共感ではなく同情に陥り、また、共感も同情も示せず相談者と心理的距離を保ち、自身を相談者の解決から遠ざけることにより、エクスキューズを図る行動に至ることもあるかもしれません。
相談場面では、相談者の心的現実を全て理解することは非現実的とも言えます。前述の通りどちらも人間ですが、育ってきた環境や置かれた状況は違うので、完璧に理解しあえるわけではないのです。
3.意義のある相談場面とは
意義ある相談援助場面の構築は難しいが、共感・理解が難しいからこそ、相手の気持ちや立場を想像し謙虚な姿勢で受け止めて理解していくことが価値あるのです。
その結果、ラポールが形成されてくれば、信頼感の形成により、より相談内容も深まっていき相談もしやするなる雰囲気が築ける過程で悩みを打ち明けようという気持ちになります。
その意味では、被相談者は自身の内面をさらけ出すこと、すなわち心を開くことも求められる場面が必ずあり、それは非常に勇気がいるものです。
何故なら、この行為は相手と通じ合える可能性が高まる反面、受け手の気持ちや感情は制御できないため、必ずしも相手と通じ合えるとは言えない、つまりリスクがあるとも言えるので注意が必要です。
相談場面において、相談者のネガティブな気持ちに共感するのは聞き手にも精神的負担がかかり自身も辛くなる等あるが、であるからこそ、同情ではなく共感により悩みを抱えた相談者の助けになりたい、良好な人間関係を築きたいという行為は意義があるのです。